看護師長は現場を取り仕切る看護主任の上司であり、経営陣の一員の看護部長に仕える部下である。こうした中間管理職の地位にある看護師長は、現場の看護主任の意見を取り入れ、経営に反映させるため看護部長に上申する重要な役割を果たさなければならない。慢性的人材不足の状況にある医療現場では、看護師の確保が早急に解決しなければならない課題である。優秀な看護師を雇用するためには、勤務状態を改善し応募する看護師を増やす必要がある。人手不足で現場の運営が困難にならないよう、看護師長は看護師たちの勤務状況を的確に把握して、労働状況の改善を看護部長や理事会などの経営陣に訴えていく責務を負う。

また、現役の看護師の医療スキルを向上させるため、研修などに赴かせることも看護師長の役割である。研修には代替職員の確保や研修費用の捻出といった問題があるので、看護主任や看護部長とも連携を取って無理のない運営を行わなければならない。そして、現場の実態に即した看護方式の選択も看護師長の進言によるところが大きいと言えるだろう。看護師の入れ代わりが激しく、従来のように1人の患者を看護師1人が責任を持って退院までケアするプライマリーナーシングでは対応できないケースも増えている。看護師長はチームナーシングなどの看護方式を導入し、看護師に過剰な負担がかからないよう合理的なシステムの構築を提唱しなければならない。看護師長は現場と経営陣を繋ぐパイプ役として活躍できて、やりがいのあるポジションであるとも言えるだろう。